2012年4月27日金曜日

Pink Millard

ちょっと日が空いてしまいました。申し訳ないです。ということで、これまた良いブツが手に入ったので、今回はPink Floydのブートを取り上げてみたいと思います。これでフロイドのブートをご紹介するのは早くも6回目になりますね。1975年4月26日のロサンゼルス公演を収録した「Pink Millard」というタイトルでございます。

「Pink Millard」  2CD  録音:AUD/S


Disc 1
1, Intro.
2, Raving And Drooling
3, You Gotta Be Crazy
4, Shine On You Crazy Diamond Part 1-5
5, Have A Cigar
6, Shine On You Crazy Diamond Part 6-9

 Disc 2
1, Speak To Me
2, Breathe
3, On The Run
4, Time
5, Breathe Reprise
6, The Great Gig In The Sky
7, Money
8, Us And Them
9, Any Colour You Like
10, Brain Damage
11, Eclipse
12, Echoes 

まず、このブートを作った業者(Sigmaレーベル)の説明文から↓

  「1975年第一次北米ツアーより5日連続で行われたロスアンゼルス・スポーツ・アリーナ公演の4日目、4月26 日のライブを超高音質オーディエンス録音で完全収録。「Pre-bootleg」と紹介された、近年新たに登場したマ イク・ミラードが録音したとされるマスターテープのDATコピーヴァージョンを収録。とにかくとてつもなく 音質が良い公演で昔からお馴染みのライブのマスターヴァージョンゆえに、ちょっとこれ以上はないような空 前絶後のサウンドで収録されています。若干のアナログノイズも含め、静かなところではアナログマスター特 有のヒスノイズも聴こえますが、とにかくこの1977年オークランドに匹敵する歴史期録音版を、鮮度を重視し たそのままの状態をディスク化してあります。(ただし、ピッチは完璧に補正済みです。)冒頭Raving And DroolingとYou Gotta Be Crazyにおける創造性に満ちた演奏と音楽的完成度は本当に素晴らしく、非公式音 源でありながら、全てのロック・ファンに聴いて頂きたいと切に感じる絶品のテイクを堪能できます。サウン ド・バランスもほぼ完璧で、4つの出音が有機的に絡み合い、独特のアンサンブルとグルーブをクリエイトし ていく様はまさに圧巻。 Shine On You Crazy Diamondの前半のお馴染みのギターノート4音がここまでド ラマチックに、そしてクリアーに収録されたテイクは他に無いでしょう。Have A Cigarを挟んで演奏されるこ の組曲は、その全てが至高の輝きに満ちており、特にギルモアのこの日のソロは呆気に取られるほどに凄いで す。後半の「狂気」も非常に安定した演奏が聴け、特にギルモアのギタープレイに関して「北米ツアー最高」 とマニア間でも評価されるこの日の演奏がここまで素晴らしいサウンドで録音されていたことは本当に感謝で す。Us And Themの5:01でテープチェンジのカットがありますがそれ以外は完璧に収録されています。冒頭3 分30秒のイントロパートからアンコールのEchoesまで、超高音質マスターサウンドで収録したハイ・グレー ドタイトルが200枚限定のプレスCDにてリリース決定です。」 


1975年のツアーは、第一部に後の「Animals」に収録される「Sheep」,「Dogs」の原曲をそれぞれ演奏し(当然ながら当時は未発表の新曲)、第二部にアルバム「炎」の代表曲を3曲、第三部にアルバム「狂気」の全曲完全再現、そしてアンコールに「Echoes」をプレイするというファンにはたまらないお腹いっぱいになれる豪華なセットリストで行われていました。

そして、このブートのタイトルにも表れているように、この日の公演は、マイク・ミラードという超凄腕のテーパーによって録音されたものが古くから知られています。上の業者の説明文にもあるように、その録音のマスターテープのコピーがこのブートに使われているようで、音質は、この日を収録した数ある既発ブートよりも上です。現時点ではこのタイトルが決定版でしょう(というよりマスターのコピーを使っているとされているので、これより上の音質を実現するのは、ほぼ難しいかと思います)。低音域から高音域まで完璧に捉えており、音が割れる事もありません。オーディエンスの歓声も耳障りでない程度にちょうど良いバランスで入っており、フロイドブートの頂点に君臨するのもうなずける話です。

肝心の演奏も素晴らしく、特に第二部の「Shine On You Crazy Diamond Part 1-5」、第三部の「狂気」完全再現ライブの部分は、パーフェクトと言える「お手本」のような演奏です。同じ1975年のツアーを超高音質オーディエンス録音で収録したブートで、これまた古くから有名なものに6月18日のボストン公演がありますが、それと比べてもはるかにロサンゼルス公演の方が出来が良いです。メンバーのノリが演奏にも表れているのが大きな違いと言えるでしょう。(ボストン公演は、メンバーがひたすら淡々と演奏している感じで、ノリが今ひとつなな印象を受けます)。曲と曲の間のMCでも珍しく饒舌です。
ただ、ラストのアンコールでの「Echoes」に関しては、そのノリのまま歌に突入していて、ハーモニーの部分がちょっと強引で荒いかな?とも感じますがww とはいえ、演奏の方は大きなミスもなく、ギルモアのギタープレイを中心に質の高いアンコールとなっていると思います。


 このように、何から何まで完璧と言えるタイトルなのですが、実は、つい先日廃盤となってしまったようで、今後の入手が一気に困難になってしまいました。この点だけは非常に残念です。しかし、全く別のブートレーベル(SHAKUNTALA)が最近になって同日のライブのブートを独自にリリースしたので、Sigmaレーベルの今回のタイトルにこだわらなければそちらでも良いかと思います。SHAKUNTALAレーベルの方の音源は未聴ですが、そちらも宣伝文句に「マイク・ミラードのテープからコピーしたファーストジェネレーションのソースを使用」と表記されていたので、後発のブートですし、よっぽどアホなブートメーカーでもない限り、音は「Pink Millard」に近いものだと思われます(ただし、SHAKUNTALAレーベルの方は、ジャケのセンスが最悪ですwww)。



というわけで、この日のライブは、別メーカーのブートを買ってでも聴くべき非常に豪華な演奏です。幸運な事に、良質な録音が数多く残されている1975年のツアーですが、やはりこの日の公演はその中でも別格と言えるでしょう。フロイドのブートは比較的高価なことが多いですが、十二分にその価値のある音源です。必聴!

2012年4月15日日曜日

Sweet Home Chicago 1981

2日連続でストーンズブートの紹介となりますね。本日は、名門ブートメーカーEmpress Valleyのブツでございます。


「Sweet Home Chicago 1981」  2CD  録音:SBD/A−, AUD/B


Disc 1
1, Under My Thumb
2, When The Whip Comes Down
3, Let's Spend The Night Together
4, Shattered
5, Neighbours
6, Black Limousine
7, Just My Imagination
8, Twenty Flight Rock
9, Going To A Go Go
10, Let Me Go
11, Time Is On My Side
12, Beast Of Burden
13, Waiting On A Friend
14, Let It Bleed

Disc 2
1, You Can't Always Get What You Want
2, Band Introductions
3, Little T&A
4, Tumbling Dice
5, She's So Cold
6, Hang Fire
7, Miss You (With Sugar Blue)
8, Honky Tonk Women
9, Brown Sugar
10, Start Me Up
11, Jumping Jack Flash
12, (I Can't Get No) Satisfaction
13, Star Spangled Banner

ストーンズは1981年に新作「Tattoo You」を発売すると、ライブツアーを開始しました。本作は11月24日のシカゴ公演を収録したブートになっています。このツアーの特徴として、「とにかく派手に、スケールデかく!」のイメージがあります。前回紹介した78年のシンプルな構成のツアーとはまるで真逆です。上のセトリを見ていただければ分かる通り、曲数も今までとは段違いに増えています。 また、ライブ会場はツアーを経るごとに大きくなっていきましたが、このツアーではほぼ全ての会場がスタジアムクラスとなりました。


そんな、ツアーを収録したこのブートですが、まず音質から語っていくことにしましょう。音源は基本的には安定して聴く事が出来るモノラルのサウンドボード音源です。「基本的に」と書いたのにはいくつか理由というか欠点があるためです。まず、各楽器の音量バランスがちょっと悪い事があげられます。全体的に低音寄り。とくにチャーリー・ワッツのバスドラの音がデカイです。そしてキースのギターが大きめに出力されているのは良いんですが、ロニーのギターがキースと比べて少し小さいです。モノラル音源ですので、全ての楽器やミックのボーカルが重なるシーンでは、彼のギターが少し埋もれ気味になってしまっています。そこらへんの音のバランスの悪さが聴いていて気になるかもしれません。

また、このサウンドボード音源、完全収録している訳ではなくて、欠落箇所があります。具体的にはDisc 1の1曲目「Under My Thumb」の頭から1分25秒あたりまで、「Time Is On My Side」2分16秒あたりからDisc 2の「You Can't Always Get What You Want」の1分38秒あたりにかけてです。これらの欠落部分には同日のオーディエンス録音を補填してつなげてあります。つまりその間にある「Beast Of Burden」、「Waiting On A Friend」、「Let It Bleed」に関しては丸々オーディエンス録音という事になります。ちなみに元の音源はさらに「Twenty Flight Rock」と「Going To A Go Go」の曲間が欠落しているようなのですが、このブートではその箇所の曲間はカットしています(滑らかにつないであるので違和感はありません)。この欠落部分の埋め合わせに使われているオーディエンス録音に関してなのですが、ステージから多少距離があるところで録音されたと思われるのですが、音が少し遠いです。また、会場の広さゆえかエコーがかかって音がぼやけてしまっています。マイクの周りにうるさい観客がいない為に、聴く分には大丈夫ですが、決して高音質な録音ではない為、この補填箇所に関してはオーディエンス録音慣れしていないとちょっと辛いかもです。


とまぁ、このブートの欠点を述べてきた訳ですが、決してダメダメなブートというわけでもありません。まず、さっき楽器の音のバランスが悪いと書きましたが、サックス、ハーモニカなどの楽器に関しては逆に驚くほどクリアにミックスされています。この日のライブには、Sugar Blueという黒人のハーモニカ奏者が「Miss You」に参加しているのですが、ここでのサックスと彼のハープのソロは絶品です。この曲は、このライブのハイライトの一つと言って良いでしょうね。「Brown Sugar」でのサックスも綺麗にきまってます。
そして、やはりシカゴという土地のせいでしょうか、気持ちよくノったテンポ良い演奏を聴かせてくれます。バンドの調子が良いのはやっぱりデカイです。1981年のツアーの中では、かなり高水準な出来のライブではないでしょうか?あまりにノったせいか、キースが「She's So Cold」にものすごく速いテンポのまま突っ込もうとしてあわててやり直すという面白いミスも見られますwww
さらにCD-RではなくプレスCDにもかかわらず安価という事も見逃せません。BFでは新品で1000円でセールされています。Empress Valleyのブートがこの値段で買えることはなかなかありませんからお得と言えます。確かに欠点はありますが、「基本的に」安心して聴ける音源ではありますので。


というわけで、1981年の代表的なライブを安価にプレスCDで入手できることもあり、なんだかんだでおすすめのブートです。

2012年4月14日土曜日

Keeping It Simple

お久しぶりです!今回は、久々にストーンズのブートでも扱ってみましょうかね。


「Keeping It Simple」  2CD  録音:SBD/A+


Disc 1
1, Let It Rock
2, All Down The Line
3, Honky Tonk Women
4, Star Star
5, When The Whip Comes Down
6, Lies
7, Miss You
8, Beast Of Burden
9, Just My Imagination

Disc 2
1, Shattered
2, Love In Vain
3, Tumbling Dice
4, Happy
5, Sweet Little Sixteen
6, Brown Sugar
7, Jumping Jack Flash


ストーンズは、1978年6月10日からアルバム「Some Girls」発売に伴う北米ツアーをスタートさせました。今回ご紹介するブートに収録されているのは、7月6日のデトロイト公演をメインに収録したものになります。このツアーでは、当時流行っていたパンク・ロックを意識して、それまでのツアーで引き連れていたブラスやパーカッションなどのバックメンバーをほとんど外し、サポートはピアノだけというシンプルなステージを展開しました。そのぶん、キースやロニーのギターが非常に冴えており、ミックもワイルドな感じを意識した歌い方をしていて、荒々しい感じがたまらないツアーですね。


今回のブートの元となった音源は、2007年に「Wolfgang's Vault」というインターネットサイト上に突如アップされたサウンドボード音源を使用しています。非常に安定した高音質な音源で、高音がほんの少しシャリシャリしている感じがしますが、演奏中はほとんど気になりません(曲間のオーディエンスの歓声の部分で少し気になるくらい)。どうやら、元の音源にこのブートを発売した業者が独自にイコライジングをかけて調整してくれているようです。またピッチが少し早いですが、正直、気にならないレベルです。

ところで、ラスト3曲に関してなのですが、上のブート紹介で「デトロイト公演をメインに収録」と書いたように、この3曲だけは7月19日のヒューストン公演からの音源となっています。どうやら「Wolfgang's Vault」にアップされた時点からこの音源が使われていたようなので、デトロイト公演が完全収録されていないという点では少し残念ではあります。そのせいで、ジャケットにも全編デトロイト公演と記載されるミスが起きています。そしてヒューストン公演も基本的には安定した高音質サウンドボード音源とは言えるものの、デトロイト公演に比べるとほんの少し音質が劣ります。とはいえ、二つの公演はスムーズにつながれており、普通に聴いているとつなぎ目は分からないです。


肝心の演奏についてですが、この日はキースの演奏ミスも少なく、ロニーとのギターの掛け合いが随所で楽しめるライブとなっています。突っ走るような荒々しい演奏がとってもイカしていて、何回も聴いちゃいますね!まさにロックンロールという感じ。「Miss You」でのピアノのリフに二人が絡んでネチネチと弾かれるソロや、「Brown Sugar」の原曲におけるSaxソロの部分をロニーがギターで弾いているシーン、チャックベリーのカバーである「Sweet Little Sixteen」なんか特にたまりません。
さらにこのツアーでは、キースがエフェクターを使う曲があり、これはかなり珍しいと言えます。「Beast Of Burden」、「Just My Imagination」、「Shattered」の3曲でコーラスエフェクターを使用しています。別の公演では、扱いに慣れないらしく、つまみをひねりすぎたりしてしまっていたようですが、この日のライブでは、きれいにエフェクトがかかっています。
ミックのボーカルも荒々しく、随所で放送禁止用語を発するほどのワイルドっぷり。全曲通して彼のノリノリのボーカルが楽しめますwww
このライブで個人的に好きなトラックは、「All Down The Line」、「Miss You」、「Tumbling Dice」、「Happy」、「Sweet Little Sixteen」、「Brown Sugar」、「Jumping Jack Flash」ですかね。



シンプルさを追求した結果、The Rolling Stonesのバンドとしてのロックンロールな面が改めて強調されていて、個人的にはお気に入りのライブです。さらにこのブート、非常に丁寧な作りにも関わらず、同公演を収録したブートが同時期に別レーベルからもいくつか発売されたせいか、当初からかなり安価な価格で販売されており、かなりお得と言えます。BFでは1000円で販売されています。プレスCDですし買って損はないブートですので、非常にオススメです!^^