2014年4月26日土曜日

First Time In Japan

お久しぶりです。新学期始まりましてゴタゴタしておりました。久々にPink Floydブート記事でも行きたいと思います。最近フロイドの良いブートや音源を色々また入手出来たので近々全てレビューできたらなと思います。今回ご紹介するのはこちら↓

「First Time In Japan」  3CD  録音:AUD/A


Disc 1(1971年箱根アフロディーテ公演)
1, Buffy Sainte Marie - The Circle Game (support act)
2, Introduction / Soundcheck
3, Atom Heart Mother
4, Tuning Up
5, Green Is The Color
6, Careful With That Axe, Eugene
7, Tuning Up
8, Echoes
9, Cymbaline

Disc 2(1971年大阪フェスティバルホール公演)
1, Green Is The Colour
2, Careful With That Axe, Eugene
3, Fat Old Sun
4, Atom Heart Mother

Disc 3(同上)
1, Echoes
2, Set The Controls For The Heart Of The Sun
3, Cymbaline
4, A Saucerful Of Secrets


フロイドファンであれば有名な箱根アフロディーテ。彼らの初の来日公演となっただけでなく、本番中に会場に自然の霧が発生し、フロイドの演奏と相まってとても幻想的な空間になった名演と言われています。このタイトルは、現在出まわっている同公演のいくつかの音源(カット無しで完全収録した単一音源は今のところ見つかっていません)をうまく組み合わせて可能な限りベストな状態での完全収録を試みています(先に結論から言うと完全収録にはなっていません)。またDisc 2と3には箱根公演の後に移動して行われた同年大阪公演の模様を収録してあります。つまりこのタイトルだけでフロイドの1971年の初来日ツアーの各公演が揃っちゃうっていう便利な音源です。


では、メインとおもわれるDisc 1の箱根公演から。CDリリースされている中で同公演を収録した現状ベストと思われてきたのはSigmaレーベルが過去にリリースした『Memory Of The East』でした。これは箱根公演を収録した別のさらに昔のタイトル『Echoes Of Japanese Meddle』とは全く別の高音質な音源(後者も年代と野外会場ということを考慮すればかなりの高音質でした)を使っており、後者では曲順もバラバラだったものが直され、さらに曲のラストの7分程度しか収録されていなかった「Echoes」が頭から途中の20分ほどまで収録されているなど、既発ではカットだったいくつかの部分が収録されている点が魅力的なタイトルでした(Shout To The Topレーベルの『Echoes Of Japanese Middle』に関しては以前このブログでもご紹介したのでこちらの記事をどうぞ。)

今回のGodfatherレーベルのタイトルはその両者のいいとこ取りをしたようなタイトルです。収録の長さ、音質などを考慮すると、Sigmaレーベルが頑張っているように見えるのですが致命的な欠点が。それは録音に使われたテープの容量の問題なのか「Cymbaline」が未収録であることです。Shout To The Topの方で使われている音源では、「Cymbaline」がきちんと収録されているのでこれは惜しかったです。というわけでまずこの1曲がShout To The Topに使われている音源を使用してきちんと収録されているのが大きなアドバンテージです。
さらに「Echoes」でもSigma盤にはないアドバンテージが。前述のように、Sigma盤では20分ほどで曲の録音が切れてしまっているのですが、Godfatherレーベルの本タイトルはShout To The Topの音源を使用してその後をなんと収録しています。厳密に言うと、繋ぎ目の部分の曲中にラグがあるので少しだけ抜け落ちてしまっているのですが。しかもShout To The Topの音源は2番のボーカルから始まり、途中でかなりのカットが入り、そこから3番の歌詞の前にある激しいインストの演奏部分からまた収録されているというカオス編集なのですが、今回の音源は同じ音源ながら、その曲後半のインスト部分からラストまでだけをうまく頂戴し、Sigma盤で切れてしまっている後半につなげています。これは大きなポイントと思われます!
わかりやすくいうと、Sigmaの音源をA、Shout To The Topの音源に収録されている2番の歌詞を歌っている部分をB、カット後の曲後半の激しいインスト部分から3番のボーカルを含めたラストまでをCとするならば、今回の「Echoes」は「A⇒C」という風にになっていて全体で23分ちょっとになり、さらに収録時間が伸びました(Bはあえて使ってないってことですね。)。現状2つの音源のつぎはぎとはいえ、あとは矢印の部分にあたる、ちょっとだけ欠けている部分が見つかれば擬似完全版となります。

というわけでSigma音源を全体のベースにしつつも、Sigma音源にはない箇所や曲をShout To The Top音源から補填しており、Disc 1の箱根公演は現状新たなベストタイトルと言えそうです。



というわけでお次はDIsc 2と3の大阪公演。この公演、おそらくSigma盤などで長らく使われてきたホールエコーたっぷりのAUD音源1種類しか発掘されていないと思われ、本タイトルにも同音源が使われています。ちょうどタイミングよく数日前にSigmaレーベルが大阪公演の最新タイトル(『Unprocessed Osaka 1971』)をリリースし、その音源はさすがに直近過ぎて聴けていないものの、それまでのSigmaの別タイトルの大阪公演の音源と聴き比べるとイコライジングの差なのか、Godfatherレーベルのほうがよりクリアに聞こえ、かつ迫力もあります。


とまぁ、いいコトづくしに見えるんですが、Godfatherレーベル、この大阪公演において致命的なミスを犯しました・・・。
それはピッチ!!!!!!Sigma盤と聴き比べて気づいたのですが、なんと今回のGodfatherレーベルの大阪公演の音源、ピッチが速くなっちゃってます笑
おかげで同じ音源を使っているはずなのに全体の収録時間が短くなっているというハプニングが。当然曲の音程なども上がっちゃいます。これは致命的・・・。ちゃんとリリースする前に確認してくれよって感じですが・・・。クリアネスではかなり良い路線を行っていたのでこれは残念でした。



というわけでトータルで見れば、Disc 1は90点、Disc 2&3は60点といったところでしょうか。うーん、大阪公演でこんなぽかをやらかさなければ完璧な名盤になっていただろうに・・・。
とはいえ、プレスCDであることはもちろん、箱根アフロディーテのパンフレットや会場の地図等が縮小で付録として入っていたり、箱根公演の編集がとにかく見事なので買う価値は大いにあると思われます。大阪公演はたった最近リリースされたSigma盤の最新版がおそらく現状ベストと思われますのでピッチ気になる人はそっち買ってください笑

というわけで部分的名盤?の『First Time In Japan』のご紹介でした!!