2012年8月1日水曜日

Roger Waters Album Collection : The Pros And Cons Of Hitch Hiking

本日は、最近購入したRoger WatersのアルバムBOXのレビュー何ぞをやってみたいと思います。このBOX自体は去年発売されたものなので、そこまで目新しいものでもありませんが、いかんせん収録されたブツたちのボリュームがものすごいので、結構ネタになりそうな感じです。



はい、まずこんな外観です。そしてこのボックスを開けると・・・?




こんな内容になってます。彼がPink Floyd脱退後にリリースした4枚のソロアルバムと2000年に行ったツアーを収録したライブCDとDVDが収録されています。全部で7CD+1DVDという大盤振る舞いです。そして、なにより気になるのはその価格!なんとこれだけ収録してあって3000円以下で購入できます!タワレコなどの大型CDショップで買おうとすると7000円くらいの値段がしたはずなので、amazonなどのネットショップを利用する事をおすすめします。実際、本国イギリスやアメリカでは日本円に換算して2000円〜3000円ほどで売られているようなので、amazonなどの方が正規の値段に近いってことですね。
では、収録アルバムを見ていきましょう。今回は写真の2段目中央に写っているアルバムからご紹介します(左上に写っているのはCDではなくBOXのブックレットなので関係ないです)。


・「The Pros And Cons Of Hitch Hiking」(邦題:ヒッチハイクの賛否両論) リリース:1984年


このアルバムは、ロジャー・ウォーターズがフロイドを脱退後、最初にリリースしたソロアルバムとして有名です(彼のソロアルバムの処女作自体はフロイド在籍時の1970年に発表した「肉体(ボディ)」という作品です)。録音にはあのエリック・クラプトンがギターで全面的に参加しており、アルバムでも随所に彼の味あるギターフレーズを聴く事が出来ます。特にアコギでそれが顕著ですね。スライドギターが生々しいです。

そんなアルバムですが、内容ははっきり言って結構暗いです。まぁ、ロジャー・ウォーターズはフロイド末期からその傾向が顕著でしたが、それをもっと暗くした感じです。このアルバムコンセプトは「精神を患った青年が午前4:30から5:11の間に見る夢を聴き手と同時進行に表現する」という難解なものであり、決して心地よい朝を迎えられそうな内容ではありません・・・。 実はこのアルバムには裏話があり、フロイド在籍時、「Animals」ツアーを終えて次のアルバム制作に取りかかった1979年、ロジャーは次回作のアルバムコンセプトとしてこの「ヒッチハイクの賛否両論」と「The Wall」二つの案をメンバーに提示しています。結果的に「The Wall」案の方が採用され、それは後期フロイド最大のヒット作としてロック史に名を残す事になりました。そんなある意味「ボツ案」を再び掘り起こして自分のソロアルバムとしてリリースした訳です。よっぽど本人が気に入っていたようですね。

サウンドはロジャーのソロアルバムにはおなじみですが、女性コーラス隊やSEを随所にちりばめながら、耳元でささやくようなロジャーの不気味なボーカルが響いてくる感じで、そこにクラプトンのギターを中心とした楽器隊が上手く乗っかっています。これはさすがといったところ。後にロジャーが出す別のソロアルバム「死滅遊戯」におけるジェフ・ベックの起用もそうですが、ロジャーは、名ギタリストの味を壊す事なく自分のアルバムコンセプトを忠実に再現させるのが上手いなぁと僕は感じます。やはりこれはフロイド時代にデヴィッド・ギルモアという名ギタリストと常に一緒にいた事も関係しているんでしょうかね?アルバム全体を包むどんよりとした雰囲気を上手くクラプトンのギターが手伝っています。そして同時にこれらの暗い曲達をなんとかギリギリメロディアスなものにしているのもクラプトンによるところが大きいです。ポップさははっきり言って皆無ですが、まぁ、ロジャー・ウォーターズのソロアルバムにそんなものを求めている人もまずいないでしょう。

各曲のクオリティは、ロジャーのソロアルバムにありがちな「酷い駄曲も見当たらない代わりにこれといって抜きん出た良曲もないかなぁ」という感じです。というよりアルバム全体で見た時の構成力の高さが凄いという感じで、個々の楽曲ではそもそも勝負すらしていないような印象すら受けます。実際全部聴き終えてみると、アルバムの内容上、少々疲れは感じるのですが、映画を一本見終わったような充実感を感じますwww


フロイドの有名アルバムを一通り聴いて、メンバーのソロ活動にも興味がでてきたら、おすすめですね。特にコンセプトアルバムが好き!という方には、ロジャー・ウォーターズは決して外せないアーティストの一人と言えます。

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